薬剤師は、薬剤師法、医薬品医療機器等法をはじめとする関係する法律に権限、責務、役割等が定められており、薬剤師の職能は関係法律の制定や改正により、影響を受けます。
法律ができるまでの基本的な流れは以下の通りです。

法律ができるまで

1.法律案(法案)の作成・提出

内閣が法案をつくる「内閣提出法案(閣法)」と、国会議員が法案をつくる「議員立法」があります。

内閣提出法案
所管する各省庁において、新たな法律の制定又は既存の法律の改正などの第一次案が作成され、関係省庁との意見調整、必要に応じ審議会への諮問や公聴会への意見聴取等が行われ、法案の原案が作成されます。
原案は内閣法制局による審査を経て、与党による事前審査※を受けた後、閣議決定され、内閣総理大臣から国会に提出されます。

与党が法案を審査すること。
例えば自民党の場合は、政務調査会にある政策ごとに分かれている部会が行います。
部会で審理・承認された法案は、政務調査会の政調審議会の了承、総務会の了承を経て承認されますが、審査の過程で法案が修正されることもあります。

議員立法
衆議院で20人以上、参議院で10人以上(予算を伴う場合:衆議院50人以上、参議院20人以上)の賛成を必要とし、国会議員又は委員会から国会に提出されます。

法案は衆議院・参議院どちらかの議長に提出します。

2018年から2020年までの法案提出件数は560(閣法:216、議員立法:344)、成立件数は267(閣法:203、議員立法:64)です。

2.審議

最初に提出を受けた議院から始まり、議長はふさわしい委員会に審査を委託して(これを「付託」するといいます)くわしく検討を行い、本会議で採決します。

委員会審査
委員会は、各会派(政党が中心になって作る議員のグループ)の議員数に応じ割り当てた委員により構成され、委員から委員長と理事が選任されます。
必要な出席議員数(定足数)は全委員の2分の1です。
閣法は国務大臣や副大臣などが、議員立法は提出議員が趣旨説明を行い、質疑・討論し、採決します(出席委員の過半数の賛成で可決) 。賛成と反対が同数の場合は、委員長が可決・否決を決定します。
利害関係者や学識経験者などから意見を聴くことが必要とされた場合は、「公聴会」を開きます。
本会議審議
必要な出席議員数(定足数)は総議員数の3分の1です。
委員長が委員会審査の経過と結果を報告し、討論、採決します(出席議員の過半数の賛成で可決) 。
採決には、「満場一致」、「異議なし採決」 、「起立採決」、「記名投票」、「押しボタン式投票」(参議院のみ)があります。賛成と反対が同数の場合は、議長が可決・否決を決定します。

審議中に国会の会期が終了した場合は審議未了で廃案になりますが、会期延長や継続審議となることがあります。

薬剤師の職能と薬局の基本的機能の再定義、薬局の認定制度導入、オンライン服薬指導などが定められた薬品医療機器等法の改正は、改正法案が第198回通常国会に提出されましたが継続審議となり、第200回通常国会で可決・成立し、令和元年12月に公布されました。

可決された法案は次の院に送付され、上記と同じ流れで審議が行われます。

3.法律成立

衆議院と参議院の両院で可決されれば、法律が成立します。

4.公布

成立後、後議院の議長から内閣を経由して天皇陛下に奏上された日から30日以内に閣議決定を経た上で、官報に掲載されることにより公布されます。